【夏の高校野球2023】専大松戸VS拓大紅陵

甲子園を賭けた県大会もたけなわになってきました。
今日でベスト4が出揃います。
私としては今夏2回目の現地観戦、県野球場で行われた専大松戸VS拓大紅陵の一戦を見てきました。
春夏連続甲子園を狙う実質県内最強の専松に、紅陵が挑む構図ですが、いやはや何とも、壮絶な一戦になりました。

ゲームは専松が梅澤投手、紅陵が諸星投手の先発ではじまります。
梅澤投手は右の本格派、プロ注目のエース、平野投手ほどの剛腕ではありませんが、ストレートの球速は140Kを超え、制球も安定しています。
こういう投手が当たり前のように控えているあたりが、今の専松の強さを表していますね。

専松先発の梅澤投手

一方の紅陵諸星投手、彼も右の本格派ですが、ストレートの球速は130K出るかでないか。
ただ、投げる前に右腕を一瞬止めるような動作があって、タイミングは取りづらそうです。

紅陵先発の諸星投手

諸星投手、序盤は制球難に苦しみました。
初回は2四球1死球でいきなり満塁のピンチです。専松打線、ここで捉まえておけば楽なゲーム運びだったと思いますが、打ちあぐねて無得点に終わると、走者は出すものの決定打が出ない展開に持ち込まれてしまいます。
適度に荒れるけど、肝心なところではストライクが入るので、相手としては的が絞りづらいのですかね?
また、スタンドからでは球種がカーブだかフォークだかわからなかったのですが、落ちる球も上手く使っていました。

結局諸星投手は4回無失点、5回からはエースナンバーの竹内投手にスイッチです。
私、コロナ前の2019年にも同じカードを観戦しているのですが、その時の紅陵のエースも竹内投手でした。
ともに右の本格派で体型やフォームが良く似ています。弟さんなのかな?

紅陵エースナンバーを背負う竹内投手

この竹内投手も球速はそれほど速くなく、ストレートは140K弱程度ですが、上手くボールを低めに集めて要所を抑えて専松に先制点を与えません。
専松、6回にはまたも満塁のチャンスを掴みますが、7番の太田選手がゲッツーに倒れます。
一死二三塁から、その前のしぶとい上迫田選手を歩かせたのが吉と出ましたね。

一方の紅陵打線もヒット数では専松を上回るものの、梅澤投手を捉えきれずに双方無得点。

そして専松は7回一死一二塁から、サイドハンドの青野投手にスイッチです。
専松持丸監督、今日は剛腕エースの平野投手は温存と決めていたようですね。

専松二番手の青野投手

しかし、青野投手も見事に監督の期待に応えてピンチを切り抜け、付け入るスキを見せません。

そしてゲームは延長タイブレークへ。
ともに無死一二塁からのスタートですが、竹内・青野両投手が踏ん張って10回は両チーム無得点。
しかし11回、ついにゲームが動きました。
紅陵、4番の永島選手のピンチバンターとして送られた上四元選手がカウントを追い込まれてヒッティングに切り替え。
二走の今選手の盗塁失敗で一死二塁、ただ上四元選手が意地を見せて三遊間を破り一三塁、ここから5番の黒田選手がタイムリー、ついに1点をもぎ取ります。

ただし、その裏の専松も無死一二塁からの攻撃、ここで今日のトピックとなるプレーが飛び出しました。
4番吉田選手の打球はセカンドゴロ、ただセカンドが打球処理にもたついて二塁でアウトを取れず、一塁のみアウト。送りバントと同じ形になったように思われました。
ここで二塁塁審は一走の守備妨害の判定、一旦二死三塁を指示します。
しかし納得できない専松、持丸監督の意を受けた大森主将がかなり長時間の問い合わせ(抗議?)を審判に行いました。
大森選手と審判の会話はスタンドには聞こえなかったので、詳しい内容はわからないのですが、守備妨害のジャッジの是非というより、その後の走者や打者走者の扱いについて言っていたようですね。
守備妨害が宣告された時点でボールデッドとなるはずなので、打者走者がアウトになるのはおかしいという主張だったと思われます。
主審の方も大森君と話しながら、何度もネット裏のスタッフの方に確認を取っているようでした。
その間20分弱、イライラした紅陵ファンと思しき男性からは「文句言っても判定かわらないぞ」とヤジが飛び、球場はザワつきながらもかなりおかしな雰囲気でした。
なかなか説明がなかったので、観客は置いてきぼりの格好になってしまいましたね。

帽子を取って主審と話している専松大森主将、後方は持丸監督

ただ、私も帰宅後、ネットで調べてみたのですが、専松側の抗議?の内容が上記の通りだとしたら正鵠を得ていますね。
確かに走塁妨害の時点でボールデッドになるようです。
とすると、一走はアウト、二走は二塁に戻されますが、ゲッツーは成立せず打者走者は一塁。
一死一二塁が正解ということになり、実際協議の末の審判団の判定もそうなりました。
野球規則には「審判員の裁定は最終」とありますが、それはあくまでストライク・ボールやセーフ・アウトの判定についてのこと、ルールの適用に関してはこの限りではありません。
その意味で専松側の抗議は正当なものですし、さすがに百戦錬磨の持丸監督といえるかもしれません。

息を吹き返した専松。
続く広川選手が値千金の四球を選び、次打者の太田選手はショートゴロ、ゲッツー崩れの間に同点に追いつきます。

そして長いゲームに決着がついたのは12回裏、表の紅陵の攻撃を青野投手が踏ん張って無失点に切り抜けると、無死一二塁からの専松の攻撃はその青野君から。
しかしバント失敗、一死一二塁となり9番の宮尾選手が打席に入ります。
打球は一塁やや右寄りのゴロ、ファーストの中島選手、難なく捌いてゲッツーを狙いますが何と悪送球、二走の太田選手が三塁を蹴って一気にホームイン。ヘッドスライディングで帰ってきました。

思いもしない形でのサヨナラ劇になりましたね。

最終スコア、王者専松の苦戦ぶりが窺えます
サヨナラ劇に歓喜の専松ナイン

しかし、こう文章で読むと淡々としたゲームに感じられるかもしれませんが、両チームがピンチを凌ぎあっての死闘と呼ぶにふさわしい闘いでした。
最後は「ここで負けるわけにいかない」とでも言うような専松ナインの王者のプライドというか、勝ちへの執念に一日の長があったということでしょうか?
梅澤投手、青野投手を信頼してバタつくことがなかった持丸采配もさすがでした。
紅陵、同点劇もサヨナラ劇も守備の乱れが絡んでしまったのは痛恨ですね。
本命相手に、勝ちが見えだして少しうろたえてしまったのかな?
ただし、名門復活への足掛かりとなる一戦となったことは間違いありません。

紅陵ナインのスタンドへの挨拶時には、球場全体が万雷の拍手でした。
オリジナル名曲「チャンス紅陵♪」「乗ってけ紅陵♪」がひさしぶりに聴けて、個人的にも楽しかった。
紅陵ナイン、応援団諸君、素晴らしいゲームをありがとうございます。
そして専松ナイン、甲子園まであと2つ。
今夏もまた、専松らしいしぶとい野球をやってますね。
準決勝は紅陵と同じ木更津の志学館との対戦。
果たして平野投手の登板はあるのか?注目です。

オリジナル名曲でスタンドを盛り上げた紅陵応援団

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